高度不妊治療 Advanced infertility care

高度不妊治療について、詳しくご紹介します。ご覧になりたい項目をクリックすると詳細をご覧いただけます。
ご質問などがある場合は、診察時にお気軽に医師にご相談ください。

1)調節卵巣刺激

それぞれの患者様に合わせ、調節卵巣刺激を行ないます。若年者や卵巣機能が十分高い方はロング法、アンタゴニスト法、卵巣機能がやや低下している方はショート法や経口剤を主体とした低刺激による排卵誘発法を行ないます。また、排卵誘発剤を使わない自然周期での採卵も行なっています。

ロング法

適応を満たす方の場合、1回採卵あたりの妊娠率、胚凍結できる確率が高い方法で、当院の標準的な採卵刺激法の1つです。

ロング法

アンタゴニスト法

ロング法と並んで、当院の標準的な刺激周期の1つです。全年齢の多くの方に行える方法ですが、卵巣過剰刺激症候群(卵巣刺激により卵巣が腫大し、腹水・胸水貯留する状態。詳細別途説明あり)を起こしやすい方や、ロング法・ショート法などで妊娠しない時に選択されます。

アンタゴニスト法

ショート法

生理3日目から点鼻スプレーを開始し、同時に排卵誘発剤を注射する方法です。 卵の数が増え、他の排卵誘発剤で反応不良例でも卵胞発育が期待できますが、卵の質が不揃いになることがあります。

経口剤を主体とした低刺激による排卵誘発法

生理3日目から経口排卵誘発剤を服用する方法です。生理6日目から一日おきに注射を併用することもあります。卵巣の予備能が高い例(注射による排卵誘発では卵が多数発育し、副作用である卵巣過剰刺激症候群が起きやすいと考えられる例)や予備能が低い例(卵巣に卵子の備蓄が少ないと考えられる例)に用いられます。

2)採卵

排卵誘発剤を用いることで、直径2cm弱の卵胞がいくつかできます。 その卵胞に針を刺して卵子を取り出すのが採卵です。 当院では、穿刺部位への局所麻酔で採卵を行っているので、処置中の痛みはありません。
また、採卵に用いる針も、他の施設と比べて細いものを使用しているので、処置後の痛みも少ないです。

3)受精

精子の摂取

採卵の当日、自宅または当院で採取していただきます。いずれも所定の容器をお渡ししますので、そちらに採取をお願いいたします。

受精の方法

受精には大きく分けて2つの方法があります。

1.コンベンショナル法

卵子と精子を同じ培養液中で培養し、受精を行わせる方法です。

コンベンショナル法

2.顕微授精(ICSI)

卵子に1個の精子を非常に細いガラス製の針を使って注入する方法です。精子の濃度または運動精子の割合が少なかった場合、受精障害があると判断した場合、無精子症の方で手術により睾丸から採取した精子を使用する場合に行ないます。
さらに当院では患者様が希望された場合、コンベンショナル法を行なった4時間後に受精確認を行ない、受精していなかった卵子の救済措置として顕微授精(r-ICSI;rescue-ICSI)を行なっております。

4)培養

胚の発育の様子

胚の発育の様子

グレート胚について(胚盤胞)

当院では胚盤胞の評価は、Gardner分類を用いています。

グレート胚について(胚盤胞)

5)凍結

近年開発されたガラス化凍結法により、ほとんどの胚がダメージなく元の状態に戻るようになりました。ガラス化凍結法では、耐凍剤を含んだ保存液に胚を浸したあと、スティックの表面にのせて液体窒素内に保存します。 発育が正常な良好胚は、一度凍結すると半永久的に保存が可能です。

6)胚移植

胚をカテーテルで子宮の中にもどすことを胚移植といいます。移植する胚の数は、過去の治療成績や奥様の年齢を考慮し、提案させていただきます。移植は10~15分くらいで終わり、ほとんど痛みを伴うことはありません。複数個の胚を凍結されている方は、良好な胚から移植します。年齢による染色体異常をもつ胚の割合

様々な移植方法

移植する周期の違い
新鮮胚移植 排卵した周期に、胚を移植します。凍結をせずに移植するので、凍結融解によるダメージがありません。ただし、調節卵巣刺激により卵子が多数採れた場合は、OHSSになる可能性があるため移植できません。また、子宮内膜が薄い場合や、胚の受精・分割の結果によっては、移植できないこともあります。
凍結胚移植 採卵した胚を一度凍結し、別の周期に移植します。調節卵巣刺激された子宮を一度リセットし、別の周期にホルモン剤により着床しやすい環境を整えてから移植します。
移植胚の発育段階の違い
初期胚移植 Day2〜Day3の胚を移植します。受精卵(Day1)で凍結した場合には、移植日の前日または前々日に融解し、移植します。受精すれば移植は可能ですが、胚盤胞移植に比べ妊娠率は低いです。
胚盤胞移植 Day5〜Day6に胚盤胞に到達した胚を移植します。初期胚移植に比べ妊娠率は高いですが、途中で発育が停止し胚盤胞に到達しなかった場合は、移植はキャンセルです。
その他の移植方法
SEET法 まず培養液を子宮に注入し、その2,3日後に胚盤胞を移植します。この培養液は、移植する胚盤胞を培養したときのものです。この培養液の中には、胚盤胞まで成長する過程で胚自身が放出した物質が含まれており、これをあらかじめ子宮内に注入することにより、子宮が刺激を受け、胚が着床しやすい環境が作られます。
二段階胚移植 まず4細胞〜8細胞を移植し、その2〜3日後に胚盤胞を移植します。単独で胚盤胞を戻すよりも最初の4細胞〜8細胞の移植が引きがねとなって着床しやすくなると考えられています。

7)AHA(アシステッドハッチング)

胚は「透明帯」というたんぱく質の膜に守られています。AHAは、胚が透明帯から脱出するのを補助するために、透明帯の一部を薄く切開する技術です。 凍結融解胚は透明帯が硬くなっているため、当院ではほとんどの胚にレーザーを使用したAHAを行なっています。

インターネットから一般診察(産科・婦人科)、教室の予約受付ができます。